〔仏教〕
ゴータマ=シッダールタ
真理を体得 → ブッダ(覚者)
1 ゴータマ出現の時代背景
紀元前 5 c 以後、インド社会は大転換期(農村社会 → 都市社会 )
商工業の発達 → 小都市の成立 → 小都市中心の群小国家(貴族政・共和政の政治)
社会の実権:バラモン階級 → 新興の商人・武士
バラモンの権威の低下
↓
自由思想家たちが輩出「六師外道」
2 ゴータマの出生
サーキャ族の皇太子(クシャトリア)
<人相見>
このように優れた人は、必ず悟りを開くであろう。そしてもしも、この世間にとどまるならば武力を用いずに世界を統一することのできる転輪王となるであろう。また、もし家を出て山林に住まうようになれば真の智恵を成就し、普く世間を照らすようになるだろう。 |
○快楽主義の否定 → 出 家
6年間の苦行生活
○苦行主義の否定 → 他に道がある
道を成就するのは 智慧
苦行の神秘性の否定(合理主義)
↓
菩提樹下で坐禅
↓
解脱(さとり)、真理の発見
3 初転法輪
※ウルヴェーラーからバーラーナシーへ(250キロ以上)
ブッダの説法 = 「対機説法」 ・・・・・ ただひとつの例外 |
(1)二つの極端に近づくな
快楽主義
の否定 → 中道
禁欲主義(苦行)
(2)四諦(4つの真理)・・・・・苦・集・滅・道
@苦諦「人生は苦である」
生・老・病・死(四苦)
+
「愛別雛苦」
「怨僧会苦」 八苦
「求不得苦」
「五蘊盛苦」
A集諦「苦には原因がある」
縁起の法
これあるとき かれあり
これ生ずるによりて かれ生じ
これなきとき かれなく
これ滅するによりて かれ滅す |
原因結果の法則
相依相関の法則
B滅諦「苦はなくすことができる」
苦の原因 ─ 激しい欲望・無明(真理についての無知 )
C道諦「苦をなくすには道(方法)がある」
中道に立っての実践 ・・・・・ 八正道
(3)八正道
@正 見・・・・・正しい見方
A正 思・・・・・正しい思考
B正 語 ・・・・正しい言葉づかい
C正 業・・・・・正しい行為
D正 命・・・・・正しい生活
E正精進・・・・・正しい努力
F正 念・・・・・正しい記憶
G正 定・・・・・正しい精神統一 → ニルバーナ(涅槃)
(4)理想の状態
【涅槃】・・・倉欲(むさぼり)・頬憲(いかり)・愚痴(おろかさ)
= 煩悩 の消え去った状態
静かで平安な心
仏 教・・・ブッダの教え
ブッダになるための教え 実践の大切さ
(5)無常・無我
@諸行無常 → 苦
A諸法無我(不変の実体なし)
a)「わがもの」自己の所有
b)アートマン(絶対的な自我) の否定
c)永遠の自我(霊魂)
(6)五戒
@不殺生戒
A不偸盗戒
B不邪淫戒
C不妄語戒
D不飲酒戒
(7)慈悲
*キリスト教の愛(アカベー)
神の愛の模倣
*仏教の慈悲
人間性の洞察より生まれる |
@ 「慈」 (metta) = 友情(metta)
日常生活における人間には、さまざまな差別
しかし、人間性を深くみつめれば
↓
[全く平等]・・・・・苦悩・不安に恐れおののく存在
同じ苦しみを持つものとしての共感 → 友情 = 「慈」
A 「悲」 (karuna) = 呻き
人の苦しみを理解する
慈 … 幸福を与えたいと願う心
悲 … 苦しみを除こうとする願い
生きとし生きるもの、すべて平等・無差別
4 仏教の国家観 -- 社会契約説
○国家は必要悪
国王は盗賊と同じ、人民に害を加えるもの
○国家の起源
他者の人権の侵害を防止するため
人民に共通な主(平等主)を選挙
人民を守らせ、善を賞し悪を罰してもらう
○納税
税は国王に「供給」
人民が国王を雇うている
○理想的政治形態
ブッダはヴァッジ族の共和政を賞賛