菊 


【呉音】【漢音】キク


会意兼形声。
下部の字(音キク)は、手の中に米をまるめてにぎったさま。
菊はそれを音符とし、艸を加えた字で、多くの花をひとまとめにして、まるくにぎった形をしたはな。球状花序という。


※小花のひと所に丸く集まって球状の花ぶさを成すキク。
草の名。美しい花が秋に開き、香りが高い。種類が多く、野生のものと栽培されたものがある。邪気をはらい命をのばす効果があるとされる。
「采菊東籬下=菊を采る東籬の下」〔陶潜・飲酒〕

掬(キク)(まるくにぎる)・球(まるくまとめる)と同系。


 このキクという字の右がわは「米印+包という字の外がわ」からなっている。ばらばらに散ろうとする米つぶを外からまるく包んで、ぐっとまとめることを表した字である。

 ところで綿や糸くずなどを中に包んで、外からまるくまとめると、マリができあがる。昔「蹴まり」という遊びがあり、そのマリのことを鞠(キク)といった。このキクの語尾が弱まってキュウとなると「球」という字で表される。

 掬−鞠−球は同系のことばで、いずれも「なかにたくさんのものをぐっと包みこんで、まるくマリ状にまとめた」という意味を含んでいる。

 キクの花は球状になっていて、たくさんの小花をまるく包みこんだ姿をしている。そこで草かんむりをそえて「菊」と呼んだのである。

 「漢字の話U」(藤堂明保)より引用しました。


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